眼鏡作製技能士合格おめでとうございます。
これはゴールではなくスタートです。みなさんが試験のために勉強された知識と技術を活かして、これから眼鏡作製をぜひ楽しんでください。
眼鏡作製の仕事は、良い視力を提供するための光学的な手当だけではありません。メガネがずれずに痛くないようかけ心地を合わせたり、個性を引き出す似合うフレームを選んだり、眼病の早期発見の大切さを伝えたり、いろいろな領域が含まれています。
また、お客様の眼はひとり一人が異なります。症状に理解を深めてもらうための話し方も、相手によってそれぞれです。それは、経験から得ることはもちろん、世界中の技術者が組み立てた理論を学ぶことで、より効率良く向上することができるのです。
とりわけ、お客様の悩みや困っていることを解消した時に、心から「ありがとう」と言っていただけることは素晴らしいですね。
私自身も、老眼で読書用メガネが必要になったが、病気で腕がうまく上がらず、メガネをかけるのに苦労するお客様に出会ったことがあります。補助棒をメガネにつけて、なんとか楽に掛けられるよう一緒に工夫した結果、上手くできるようになった時の笑顔を、今でもはっきりと覚えています。
今人生100年と言われる時代に、何歳になっても現役として楽しむことができる。眼鏡作製技能士という仕事の喜び、難しさ、単純で同じことの繰り返しでなく、毎日が新しい経験に飽きない職業に、これから誇りをもって歩んでいかれることを祈っています。おめでとうございました。
公益社団法人 日本眼鏡技術者協会 会長 木方 伸一郎